Economic Seminar Series 2
東京大学政策ビジョン研究センター/IMF共催セミナー

世界経済と中国-迫られる構造改革
Global Economy and China:Urgency of Structural Reforms
開催報告

【日時】
2016年6月2日(木)14:00-17:00
【会場】
東京大学本郷キャンパス福武ホール 地図
【主催】
東京大学政策ビジョン研究センター(PARI)/国際通貨基金(IMF)
【備考】
プログラム
無料(事前登録制)
【言語】
日英同時通訳付

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Session 1  経済成長を促す生産・労働市場における構造改革への挑戦
Speaker
ロメイン・デュバール IMF調査局審議役 発表資料
Discussants
ルード・モイ IMF財政局租税政策課長 発表資料
植田健一 東京大学経済学部准教授 発表資料
ジョバンニ・ガネリ IMFアジア太平洋地域事務所次長 発表資料
Moderator
篠原尚之 東京大学政策ビジョン研究センター教授
 
Session 2 中国経済-迫られる構造転換に向けた課題
Speaker
アフルレッド・シプキ IMF北京駐在上席代表 発表資料
Discussants
河合正弘 東京大学公共政策大学院特任教授 発表資料
露口洋介 信金中央金庫上席審議役 発表資料
高田和典 ブルームバーグ東京支局長
Moderator
ウィリアム・ペセック バロンズ・アジア Executive Editor

開催報告

6月2日、東京大学政策ビジョン研究センターとIMF共催の国際セミナー「世界経済と中国-迫られる構造改革」が開催された。東京大学とIMFの共催する国際セミナーは、本年1月に続き二回目であった。福武ホールは満席の聴衆で埋まり、Q&Aへの聴衆の参加を含め、活発な議論が展開された。

本セミナーでは、世界経済の成長率低迷が懸念される中、潜在成長率を高めるための構造改革の必要性が叫ばれる中で、世界経済と中国における構造改革の諸課題について様々な角度から検討を行った。

第一セッションでは、まず、本年4月発表のIMF「世界経済見通し」(WEO)第三章のテーマ「構造改革がもたらす経済に与える影響」をもとに、著者のロメイン・デュバール氏(IMF調査局審議役)が発表を行った。デュバール氏は、まず世界経済の成長が弱く見通しも不確実である現状を説明し、需要不足と中期的な潜在成長率低下双方への対応が望まれるとした。こうした現状では、中期的に成長率を上げていくための構造改革が重要性である旨指摘するとともに、先進国において、生産市場の規制緩和、労働市場改革、労働参加を促す方策を実施する必要があるとし、過去のデータをもとに行った分析を紹介した。一方、中長期的便益は大きいが短期的には改革にコストが伴う場合があるとし、適切なマクロ経済政策による補完が望ましい場合があること、各種構造改革の順序付けを慎重に行うべきことを述べた。

討論に移り、モイ氏(IMF財政局租税政策課長)は、IMF「財政モニター」第二章の著者として分析を行った、生産性向上のための研究開発投資に果たす財政政策(租税政策)の役割の重要性について説明した。特に、研究開発への税制上の優遇について、中小企業に着目する例が多いが、むしろ新興の企業にフォーカスすべきとの主張があった。植田氏(東大経済学部准教授)は、デュバール氏の言う構造改革の短期的コストに関する分析手法への疑問点、金融セクター改革が分析に含まれていないこと等を指摘した。ガネリ氏(IMFアジア太平洋事務所次長)は、デュバール氏の議論はIMFの日本へのアドバイスである包括的パッケージ(構造改革、中期的財政再建計画、短期的景気刺激)の考え方と合致していること、日本の労働市場の二重構造、賃上げにかかる問題点などについて言及があった。モデレーターは、篠原氏(東大政策ビジョン研究センター教授)が務めた。

第一セッション

第一セッション

第二セッションでは、シプキ氏(IMF北京駐在上席代表)が、まず中国経済のスローダウンの背景、進行中の経済のリバランシングが予想より時間がかかっていること、最近の資本流出の状況等を説明した。次に、近年の景気刺激策の関連した法人債務残高の急増が、将来のマクロ経済安定への懸念材料であることを指摘した。また、中国の財政赤字や国営企業(SOEs)に関するガバナンス等の問題について議論した。こうした中で、中国経済の改革を進めつつ、経済の急激なスローダウンを避けるマクロ経済政策を模索していくと同時に、法人部門の債務残高の増加の問題への対処、国営企業の改革、当局による政策目標やロードマップの明瞭化の必要性などが必要であるとした。

討論に移り、河合氏(東大公共政策大学院特任教授)は、中国経済のサービス経済への構造変化の状況、資本流出のコントロールの重要性等について言及した。また、中国当局の市場との明瞭な会話の必要性について強調した。露口氏(信金中金上席審議役)からは、中国の銀行セクターの現状とその効率化の必要性と難しさ、金利規制や資本規制の現状と金融政策目標を量から金利に移していく必要性について説明があった。また、高田氏(ブルームバーグ東京支局長)からは、中国内の地域格差が拡大していることの政策的重要性と国営企業改革について発言があった。モデレーターは、ペセック氏(Barron's Asia Executive Director)が務めた。

第二セッション

第二セッション

〔会議の詳細については、英文サマリーを参照されたい。〕

(文責:篠原)

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