科学技術ガバナンスの未来 2010/07/03
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科学技術ガバナンス研究会 −科学技術ガバナンスの未来−
東京大学(政策ビジョン研究センター)は2010年7月3日(土)鈴木 寛 文部科学副大臣等をお招きし、科学技術ガバナンスをめぐる特別講演会・パネルディスカッションを開催いたしました。

0. イントロダクション 社会的課題と科学技術について
- 今日の科学技術アセスメントについての社会的要請について
- 科学技術プロセスのオープン化
- これまでの議論のまとめ
- 進め方:問題提起の後、パネルディスカッションの後、質疑応答も
1. 基調講演 「科学技術ガバナンスの未来」
鈴木寛 文部科学副大臣
講演内容について

- このプロジェクト(I2TA)に期待。
- 自分はもともと政策形成過程を研究してきたが、政策プロセスの改革のための試行錯誤のヒントとなる本プロジェクトである。
- コラボレーションで今後もやっていきたい。
- 今日は進行中の話をしたい。
- 新しい話として、新成長戦略を6月18日に成立させた。
- グリーンイノベーション、科学技術を国家戦略の中心に位置づける。
- 課題解決型デザインの一歩を踏み出した。
- 政府の中だけでは、科学技術のような専門知に関わるものは足りない。
- グローバルなコミュニティとの連携も視野に入れる必要がある。
- 結論を急ぐより、決めていくプロセス、フレームワークであるとか、エビデンスを集めていくことが肝となる。
- 現状はそうなっておらず、日々の観察と分析を担うコミュニティをどう作っていくかが課題となる。
- 科学技術政策の公共圏をどう形成するか。
- 文科省では4月17日から「熟議カケアイ」というサイトを開設し、公共圏の形成に向けての実践がなされている。
- 科学技術政策は、麻生政権末期に残った30の分野をどうするかも検討課題となる。
世論
- 科学技術が専門誌だけではなく一般誌の誌上にも載ってきている
- 国民の世論も急速にかわってきており、generalなperceptionは高まってきている。
- 科学技術と社会が非常にアクティブになっている。
課題解決型イノベーションに向けた研究開発の推進
- 国家戦略室、科学技術担当大臣ということで、縦割りの政策決定を打ち破っている。
- いままでのホッチキスではない戦略を作っていると言える。
- イノベーション、いままでの分野別の重点化から、複数の領域のコラボレーションへと、コンセプトの変更を行なう。
- 府省横断はもとより、産学官がそれぞれのフェーズでどうあるべきかを検討している。
- 特にメディカルイノベーションが重要になっている。
- 明らかに、ITとバイオ・ライフサイエンスの構造は違う。
- 阪大発のバイオのベンチャーに慶應時代から携わってきており、そうした経験からも違うと感じる。
- 阪大の医工連携など、ライフサイエンスの中でもいろいろなフェーズがある。
- ITは企業メインでできたが、ライフサイエンスはそうはいかない。
- 大学発が重要になってくる。
- プラットフォームの形成、そのマネジメントがわが国の課題である。
国家戦略プロジェクト
- 21の国家戦略プロジェクトがあるが、ライフイノベーションとグリーンイノベーションで、アジアにおける戦略を展開していく。
- これまでの研究開発は、研究の側からすると待ちのポジションだったが、研究策定段階においてもコラボレーションをしていくことが必要だ。
研究開発マネジメント
- 官の作ったプランは一回作ると柔軟性を欠き、研究の実施が目的化してしまう、この問題の解決のためには、アカデミックの側が重要になる。
- 政府の役割はプランナー、アロケーターという伝統的な機能があるが、バインディングをしていくことも必要だ。
- ライフイノベーションは日々倫理問題を気にして行かなければならない。
- 被験者の生命の安全が最重要であるが、その実現の方法は従来の一律の規制が安全という観点からも適切なのかを考えていく必要。
- 今後、国立病院が主導的になっていくが、いろいろな人材を抱えている。
- その責任を担って(安全の確保)、最終的な責任を国だけでなく、一方では、実施主体と規制当局はどういった役割と責任を期待するのかを考える必要がある。
- そのバランスが重要であり、双方のパフォーマンスの向上につながる。
- いろいろな情報の非対称がある中で、全ての当事者が持っているパフォーマンスを最大限に発揮して行く。
国立研究開発機関(研究開発の推進)
- 多くの国立研究所は独法となったが、2つに大別できる。
- 独自に研究を行なうものと、タスクをこなしていくもの(業務系)である。
- 2種類が同じガバナンス構造は問題がある。
- 研究開発型は世界的な研究水準に取り残されないようにしなければならない。
- 研究開発型を独法の中から抜き出して、独自のガバナンスをしていく必要がある。
- 国民の税金を投入する以上、国民の過半数の賛成、理解を得る必要があるが、科学技術政策はここに二律背反的なジレンマを抱える。
- これまではある種専決的に決めてきたが、その正統性は不明である。
- だが、単純に多数決主義に照らせというわけにはいかない。
社会と科学技術・イノベーションとの関係
- 関係当事者による熟議の必要性を考えなければならない。
- その際には、当事者である専門家と言った時の、「専門家」の捉え方の狭さも問題となる。
- これまでは自然科学の専門性を基準にした政策決定がなされてきた。
- 社会科学、人文科学分野の層の厚さが不十分であり、またその人たちが活躍する場がなく、悪循環であった。
- そういった人たちを含めて、広範な観点(経済的、社会的、倫理的)から社会の同意を求めていく。
- もっと総合的な戦略の構築をしていくことだ。
予算について
- ポートフォリオの考え方があってしかるべきだが、国家予算の総数としてのポートフォリオが見えない。
- 個別には失敗であっても、トータルに見て利益になっているかどうかということを考える必要がある。
- 学問的にはインタラクティブであるが、政策的には困難ではある。
- 予算の使い方は年度末までの消化をせずともよくなる。
- プロジェクト期間として、グローバルなスタンダードに合わせていく。
- 科学の専門家は多くいるが、科学政策、ガバナンスのコミュニティをどうつくっていくか。
- 当然ながら、人文・社会科学の知見が必要となる。
- 日常の領域から研究コミュニティに至るまでの過程の検討もしなければならない。
人材の問題
- 博士の必要性は、彼らがどこで働くのかを考えることにつながる議論である。
- 最初は行政に属し、その後研究機関、大学とまわっていく人材のサーキュレーションを考える。
- 戦略本部の事務局は、このようなサイクルに合った人員構成にする。
- 文科省の担当部局は全員博士をとってもらうということもあろう。
熟議
- 研究の当事者も多様にいる。
- 熟議の結果を受けて、予算執行過程の要求をしていくことを考えている。(財務省に提案している)
2. パネルディスカッション 「科学技術ガバナンスの未来とテクノロジーアセスメント」
鈴木 寛(文部科学副大臣)、五神 真教授、鈴木 達治郎 (原子力委員会委員長代理、東京大学客員教授)、城山 英明教授
城山 英明教授
ここでは、副大臣に加えて科学技術系の研究者である五神先生、政府にも入っている鈴木先生と私で行ないます。

- 研究会の紹介とTAの必要性を述べたい。
- TA業界は限られていて、広がりがなかった。
- 研究会をするということは、科学技術とTAの交流の必要性を認識することにつながる。
- いままではキーワードビジネスだったが、多面的機能を考慮していく仕組みが必要がある(宇宙系ではある)。
- 医療では、第三者的観点の必要性を認識している。
- 場をどうつくるかという問題意識はある。
- スライド9頁目の、社会と科学技術の重要性、その後に科学技術の創造とあるが、この順序が重要。
- 社会からの要請があってこそのイノベーションである。
- スライド12頁、科学のための科学も大事である。
課題状況の違い
- 分野別に課題状況はかなりちがう。
- バイオマスは比較的TA的である。
- 反対に原子力はなかなか変わらない。
制度
- 制度の課題をどうするか。
- 講演で言えば、PMDAの一律化からの変更がそれにあたる。
- 社会でも、どういう時にベストエフォートを求め、保障を求めるのか。
- ある意味で失敗学の必要性もある、実験の許容、実験法制の必要性がある。
- 実験についても、条件も必要になる。
人材
- 1つはシステムマネージ人材の問題がある。
- それから、TA人材も必要になる。
- さらに医療における橋渡し人材も必要になる。
- 科学者の方も社会を見据える必要があるかと思う。
- 博士取得者をどうするかも問題である。
五神 真教授

- 人づくりには時間がかかる。
- 高度な人材、今までにないタイプの人材をどう育てるか。
- 人材育成制度が揺らぐのは問題だ。 博士人材を、課程制大学院の中で、どういう人を育てるか。
- では博士課程でそういうコースを作るか。
- そうではなく、理文を問わず、多様な環境の中で育った人がそのような人材になっていく。
- 理系の場合、若い時に勉強をじっくりする時間が必要だ。
- 成長戦略は期待できる。
- 研究開発法人は、キャリアのプールとなり、魅力あるキャリアポストとなる。
- 安定的な機関、制度が必要である。
- 理工の定員6000人の中で、400人くらいがそのようなキャリア形成の場に入る。
- そういう仕組みは世界の中でない訳ではない。
城山 英明教授
人材面からのコメントでした。では、鈴木先生お願いします。
鈴木 達治郎客員教授

- 研究者としてのコメントもさせてもらいたい。
- TAの目的は大きく3つある。
- 1つは政策の質である。
- 2つ目には社会の科学技術に対する信頼である。
- 3つ目がイノベーションだ。
- これら3つを原子力にも入れたらどうか。
原子力戦略について(成長に関する原子力政策)
- 新たな環境が必要になる。
- 政策過程に纏わるデータ。
- データがない、というパブコメがある。
- パブコメは無駄ではなく、どう解釈するかが政策決定者次第になる。
TAに関して
- 分野を異にする人々のコミュニケーションと、多くの情報の共有の必要性。
- これはアメリカ政府のオープンガバメント(透明性、反応、信頼の発想)が参考になる。
- インプットとアウトプットの情報を、オンラインデータベースに基づいてデータ公開をする、という政府への要望を原子力委員会がまとめた。
- TAの制度化のためには、独立性が重要だ。
- これまで社会に評価されなかったのは、独立した評価がなされなかったからだろう。
城山 英明教授
鈴木副大臣からレスポンスをお願いします。
鈴木 寛文部科学副大臣
五神先生の話について(人材面)

- 4つほどシナリオを考えている。
- 1つは大学の教員として、これには基盤的経費をどうするか。
- 2つ目は国立研究機関、現在の研究開発型の独法だ。
- 3つ目には、産学連携の人材開発である。
- 大学と産業界の連携だ。
- 大学は博士課程の博士供給をどうするかの姿勢を社会に示す。
- 今の大学のリソースだけでは足りない。
- 産業界は、人的、奨学金等の貢献、修了者の採用に関しての意欲を示す必要がある。
- 秋ぐらいに、文科省、経産省合同でイベントを開催したい。
- 産業界と言った時、今までの理工系研究者の相手は企業の研究所であった。
- そうではなく、人事担当者にも人材のプロモーションもしていく必要である。
- 4つ目はベンチャーだ。
- 今、冬の時代である。
- 厳しいが、大学にベンチャーキャピタルはない。
- 研究段階からの時間が長いライフサイエンスにはベンチャーキャピタルを養成していく必要がある。
城山 英明教授
- 独立性とは何か、孤立では困る。
- どういう意味の独立性か。
- 公共圏の形成も、政府の中にとらわれないことである。
伊地知先生(成城大学)
- 科学技術政策の特殊性を、他の政策との関係でどう説得して行くか。
- それを国民に対してもどう説明していくか。
- 機密情報の問題を持つ国防の分野も参考になる。
- 2点目として、プロセスとしていろいろなことができるのではないか。
- 3つ目には、データを取るためには、提供者側の協力が必要であるが、どういった形で理解してもらうか。
有本建男氏(JST)
- プロセスをどうするか。
- 科学技術政策のための科学の必要
- 運用する人
- 科学者集団の行動規範をどうするか、日本はそれが甘く、できていない
- 米英の積み重ねのファクトを積み重ねている
- 個別のプロジェクトを抽象化した議論を科学者の中に入れていく必要
鈴木 寛文部科学副大臣
- 国防と構造は確かに同じだ。
- 政策としての正統性を今までは権威に頼ってきた。
- 国防の権威はアメリカ国防総省であり、そこが正統性を与えていた。
- それによらずして、さらに絶対多数決主義でもない社会からの信頼獲得をどうするか。
- また、たしかに政策評価が重要である。
- 数値化可能なものとそうでないものがあるし、数値化可能なものも、会計検査的なもののみが確立している状況にある。
- パフォーマンスの評価をどうするか。
- 大学なりが評価を確立して、de facto化して行くことが考えられる。
- データについては、権力が取りやすい情報と、そうでない情報があることを留意する必要がある。
- 権力に知られたくない情報は絶対に収集できない、権力者故の弱点である。
- 失敗学も参考になるが、そのような情報の蓄積も権力は苦手である。
- そうしたものを集めるのがインフォーマルコミュニティ、アカデミックコミュニティが重要となってくる。
- 権力側がとるものと、敢えてそれ以外がとってくるデータを分ける必要がある。
城山 英明教授
人材形成は今後の課題、この種の研究会を今後とも考えていく必要がある。
森田 朗教授

PARIについて:東大のシンクタンクとして、エビデンスに基づいた政策を提言していく役割を持っている。
科学技術政策の観点については、政府の観点からのものもあるが、アカデミックのサイドからもベースを作っていく必要。科学者自らが事務局機能も果たしながら、マネージして、きちんと科学者自身のレビューをしていく必要である。ピア・レビューのやり方そのものである。
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