第2回政策ビジョン研究センター/ミャンマー家畜・漁業・地方開発省主催ワークショップ 開催報告

チュラロンコン大学エネルギー研究所 客員研究員
山口 健介

2015/5/25

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PARI・MLFRDの相互協力などといった内容を盛り込んだLoI(Letter of Intent)への署名のようす(左:坂田政策ビジョン研究センター長、中:署名の様子を監督するOhn Myint家畜・漁業・地方開発省大臣、右:Ohn Myint大臣の代理署名者のKhant Zaw地方開発局長)

概要
【日時】 2015年5月25日(月) 14:30-17:30
【場所】 家畜・漁業・地方開発省 オフィス(14) 大会議室 (ネピドー、ミャンマー)
【共催】 東京大学政策ビジョン研究センター(PARI)、家畜・漁業・地方開発省(MLFRD)
【後援】 東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)

ミャンマー家畜・漁業・地方開発省(Ministry of Livestock, Fishery and Rural Development, MLFRD)と東京大学政策ビジョン研究センターは、ミャンマーにおける農村電化の課題や政策のあり方を議論し、それを通じてエビデンス・ベースの政策形成を行う土台を関連省庁間で構築することを目的として、政策ビジョン研究センター(PARI)/ミャンマー家畜・漁業・地方開発省(MLFRD)主催ワークショップ(ERIA後援)を昨年より行ってきた1。2015年5月25日、ミャンマー首都ネピドーのMLFRD講堂において、第2回PARI-MLFRD主催ワークショップを開催した。当日は、大臣、副大臣、地方開発局長等のMLFRD幹部をはじめ50名程度の官僚、民間団体、NGO等の参加があり活発な議論がなされた。

冒頭、Ohn Myint大臣(MLFRD)のスピーチにおいて地方電化の推進に当たってはバイオマス・エネルギーの活用を踏まえた持続可能性と小規模グリッドの重要性が強調された。応じて、坂田センター長(PARI)は、日本でも311からの復興の取り組み「新しい東北」において、持続可能なエネルギー社会が五本柱の一つとしてあがっており、分散型のエネルギーについて知見の蓄積も進んでいることを述べた。続いて、Ohn Myint大臣2と坂田センター長の間でLetter of Intent(LoI)(本ページ末にpdfにて全文公開)が署名され、交換された。具体的な協力内容として、PARIからの専門的知見に基づくアドバイスの提供や、ミャンマー政府からのデータ等の提供、地方電化に関する相互協力、人材育成に関する協力、また共同でのワークショップの開催等が盛り込まれている。このLoIは今後3年間(延長可)有効とされている。

その後、現在進んでいるADB、世銀、JICAによる関連プロジェクトの経験などを踏まえて、現在の政策課題について活発な議論が行なわれた。主要論点を示すと次の3点である。第1に、MLFRDのKhant Zaw地方開発局長から、現在別々に進められている発・送・配電部門の各計画間の調和の取り方について質問があった。これについて、杉山講師(PARI)より、調和のとれた統合的電力計画こそは大切なポイントであり、調和にも配慮しつつ複数年ごとの計画改定に不断の努力を注ぐことの重要性が指摘された。例えば、エネルギー政策基本法に基づき2003年に策定された我が国のエネルギー基本計画は、2007年に一次改訂、2010年に二次改訂がなされた。少なくとも3年ごとに検討されることとなっている。

第2に、Khin Maung Aye副大臣及びKhant Zaw局長から、電力料金への補助金政策と民間参入への示唆について質問があった。芳川恒志特任教授(PARI)から、理論的には補助金の撤廃が望ましいのは明らかであり、それが投資の呼び込みにもつながることが確認された。とはいえ、現実的には長期間の電力料金引き上げスケジュールを策定していくことが重要である点が強調された。この改定スケジュールについては、11月の総選挙を経て再度議論の盛り上がりを見せるものと思われる。第3に、省庁再編の具体案について質問があった。橋本特任研究員(PARI)より、現状の関連省庁間の連携の弱さと、垣根を超える事の重要性が述べられた。よりシンプルなエネルギー行政組織が、今後求められるかもしれない。

上記以外にもMLFRD等から活発な質問がなされ、今後のワークショップの展開に期待が集まっていることが伺われた。また、MLFRDに限らず、他機関からの期待も同様に高い。例えば、ミャンマー・エンジニアリング協会(MES)からは、若手・中堅行政官向けのこうした講義を大学が行うことが統合的なエネルギー政策を構築していく上で重要であるとの指摘があった。こうした要請も踏まえつつ、MLFRDと結ばれたLoIに則り、ミャンマーの統合的エネルギー政策構築に向けた実効的な活動を心がけてゆきたい3 。第3回のワークショップは、これらを踏まえてミャンマーの地方電化を巡る現状と課題、将来展望等について実態に即した議論を行う予定である。

LoI (画像クリックで全文表示)

脚注

  1. 第1回については、次を参照 http://pari.u-tokyo.ac.jp/event/smp141128_rep2.html
  2. 署名者はMLFRDのKhant Zaw地方開発局長。
  3. なお、エネルギー省をカウンターパートとして行っている、政策トレーニングプログラムについては、次を参照。http://pari.u-tokyo.ac.jp/event/smp150206_rep.html

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