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シンポジウム概要

東京大学から政策発信を行う目的から設立された政策ビジョン研究センターは、2018年に10周年を迎えた。これを機会として、このたび東京大学未来社会協創構想の一環として発足した当センターのSDGs協創研究部門の主導により、センター設立十周年を記念する国際会議「サステナビリティと国際関係- 持続可能な開発の実現に向けて-」を開催した。

開会の辞:藤原帰一 政策ビジョン研究センター長
本シンポジウムの主題は、国連で2015年に合意された「持続可能な開発のための2030年アジェンダ」(SDGs)を実現するために、サステナビリティ研究と国際紛争研究という二つの視点から課題を明らかにすることである。地球環境の変化、温暖化、政治紛争、暴力、内戦、国際紛争、さらに貧困、栄養不良、飢餓、あるいは格差など、現代世界はさまざまな課題を抱えている。これらの課題への取り組みを提示した一つの枠組みがSDGsである。大学はこれまで、課題の提示や分析はしても、選択を提示することはあまりしてこなかった。一方、国際連合は、世界が取り組むべき課題が次々に増えている現状に直面している。本シンポジウムでは、SDGsという切り口から現代世界を考え、次に取り組むべき課題選択の契機としたい。

【基調報告1 五神真 東京大学総長】

東京大学は2017年4月に創立140周年を迎えた。人類の歴史の中でも変化の大きな時代であり、その要因は科学技術の革新であった。新技術は人と人のつながり方を質的に変え、人類が数世紀をかけて構築してきた資本主義や民主主義といった、社会を支える基本的な仕組みそのものを揺るがし、限界を際立たせている。最近耳にするポスト・トゥルースという言葉もその表れである。情報格差による情動がうねりとなって力を持ってしまう。このうねりを押し返し、新しい技術を制御し、社会をより良い方向に導いていかなければならない。そのためには、人々が地域、国境、人種、性別、年齢などを超えて、協力して行動すること、多様な知と人材の活用が鍵となる。

世界経済フォーラムのシュワブ会長は、「第4次産業革命」を予測している。人工知能、AI、IoT、ロボット等の革新的な技術によって、リアル空間とサイバー空間が高度に融合し、社会や産業の構造が激変して新たな価値が創造されるという予測である。第4次産業革命が人類社会に与える価値について、日本では未来投資会議での議論が始まっている。新技術を活用することで、解決の難しかった社会課題を一気に解決するチャンスが生まれ、より良い社会に向かうのではないかと議論されている。都市と地方の格差を縮小し、多様な人々の個を大切にしながら、社会が全体として持続的に発展するというものである。人類社会の進化の新たな段階とも言える。最初の段階である狩猟社会をソサエティ1.0、農耕社会をソサエティ2.0、工業社会をソサエティ3.0、情報化社会をソサエティ4.0として、今後の社会をソサエティ5.0と呼びたい。SDGsは、ソサエティ5.0がより良い社会となるための目標と行動指針を示している。達成の鍵となるのは、科学技術イノベーション、社会システム、経済メカニズムを組み合わせた適切な設計である。そこで、さまざまな分野で多様な知の蓄積を持っている大学に大きな期待が寄せられている。

東京大学は、昨年6月30日付で指定国立大学法人に指定された。この制度は教育研究水準の一層の向上とイノベーション創出を目的としている。認定を機に本学は、地球と人類社会の未来に貢献する、知の共創の世界拠点の形成という構想を全学でまとめた。SDGsを学内の共通目標とし、分野を越えた連携のために未来社会協創推進本部を立ち上げた。学内でSDGsの達成を目指した研究がどれだけ行われているのかを調査・登録し、ウェブサイトで発信している (https://www.u-tokyo.ac.jp/adm/fsi/ja/projects.html)

私たちが目指しているのはSDGsを実現させ、ソサイエティ5.0をより良い社会にすることである。そのためには、産学官民、国内外のあらゆるセクターの人々がこの活動に参加することが不可欠である。科学技術イノベーション、社会システム、経済メカニズムが関連し合い、リアルな空間とサイバー空間が高度に融合した、新しい社会の姿を具体的にイメージした上で、経済、社会システムのビジョンと、人材育成の仕組みを設計していく必要がある。東京大学はこれに関する知見と人材の蓄積を存分に活用し、国内外の多様なセクターの人々と協力しながら、世界と人類社会をより良いものに変えていくことに貢献したい。

【基調報告2 デヴィッド・マローン 国際連合大学学長】

持続可能性(Sustainability)という言葉は、耐久性(Durability)という意味も含んでいる。私が生きてきた間にも、地球上の自然環境の耐久性と持続性は低下している。経済水準を達成する上でも、自然環境の持続性が問われている。グローバルな環境に関わる最初の国連会議は、1972年に実現した。当時は新しい概念だったが、その後、多くの国際的な取り決めが出来上がった。SDGsはその最近の取り決めの一つである。

2000年に国連が採択したミレニアム開発目標(MDGs)は、ごく基礎的なものだった。例えば教育について、MDGsにおける目標は、すべての子どもの初等教育を実現することであり、2015年までに達成された。SDGsにおいては、質の高い教育を掲げるようになった。

MDGsからSDGsへのもう一つの大きな変化は、平和、安全保障、正義についての目標が掲げられたことである。SDGsの第16目標は、平和と正義に関する目標である。世界で最も貧しい国の多くは、暴力的な紛争を最近に経験している。紛争の中では、経済活動や環境保全活動を持続させることはできない。正義は持続可能性と強く関わっている。正義がない社会には不安定性が広がるためである。国際社会の考え方は、2000年から2015年の15年間で大いに変わった。

日本も、世界の人々と分かち合える経験を持っている。福島における原子力発電所の事故に対して、科学的に体系だった形で立ち向かった経験も、その中に入っている。東京大学は非常に野心的な計画を提示している。高等教育における分野横断的、学際的なアプローチは重要である。学問分野間に壁があるということは、世界にとっても大きな問題である。私は総長のビジョンに敬意を表したい。東京大学のみなさんが、意欲を持って、新しいビジョンを共に掲げて歩んでいこうとしていることを称賛したい。それによって日本の高等教育全体が大きく恩恵を受けることに期待したい。

【パネルディスカッション】

議題設定:藤原帰一 政策ビジョン研究センター長
パネルディスカッションでは、2つの議題を提示する。第1に、エネルギー問題である。緊急性の高い課題として、天然資源を枯渇させず、かつ地球温暖化を進めないエネルギー供給が必要である。長期的に見ると、科学技術イノベーションによって新しい形の社会経済が生まれ、持続可能な開発に導くという展望に通じる。第2に、平和と正義の問題を議論したい。社会の持続性を考える上でも、地政学、国際関係、紛争を意識する必要がある。気候変動や温暖化によって紛争や途上国におけるガバナンスに影響が出てくることも考慮する必要がある。

ジョン・アイケンベリー プリンストン大学教授
国際関係を考える上で、環境問題のとらえ方がますます重要になっている。CO2濃度の上昇、地上気温の上昇、海面の上昇、成層圏のオゾンの問題もあり、さまざまな形で温暖化による影響が見られる。環境問題は、戦争と平和、国際関係、グローバル・ガバナンス、正義の問題に対して、間接的、直接的、そして相互関連的な影響を与えていくだろう。ここでは4種類の例を挙げる。

第1に、異常気象によって、より深刻な自然災害がより頻繁に起きる。ハリケーンや台風によって間接的、直接的に大量の避難民が生まれ、脆弱な社会制度をさらに弱める。紛争にも陥りかねない。例えば、プエルトリコの発展が数十年も遅れているのは、熱帯ハリケーンが頻繁に見舞うためである。そうした現象が世界規模で起きたらどうなるだろうか。第2に、海面が6-11フィート上昇したら陸地の一部が消える。バングラデシュやフロリダのマイアミビーチは消滅せざるを得ず、キリバス住民は島を離れざるを得ない。第3に、農業生産や食料安全保障が危機に直面する。伝統的な農業での食糧生産は不安定になり、必要な作物を生産できるのかどうかが疑問になる。第4に、難民が大量に発生する。2050年までに2億人が環境問題を理由に移住すると推測されている。豊かな国はこうした影響に適応できるだろう。貧しい国は住民の保護に苦心し、さらに貧しくなる国も出てくるだろう。

われわれが国際関係論の分野で問題提起していることは、世界の人々のために平和を守れるかどうかである。温暖化によって紛争が激化した例として、シリア紛争が挙げられる。紛争の要因は数多く存在するが、2007-2010年の干ばつ後に飢饉が起こり、1400万人が農地を捨てて都市に移住した。民族、宗教をめぐる新たな緊張が生まれて紛争に結びついた。何百万人もの難民がヨーロッパに流れ込み、社会問題、政治問題を引き起こした。グローバル・ガバナンスはこうした問題にどう対処できるのだろうか。CO2排出や温暖化に対する政府の対応にも変化が生まれている。京都議定書の「規制型アプローチ」から、パリ協定の「触媒的アプローチ」に変わってきた。都市、地方政府、ビジネス、NGOが関わり、規範的な圧力を人々やグループにかけていく方法が取られている。気候変動の抑制と適応に対して、国々は合意できるのだろうか。気候変動におけるリーダーシップはソフト・パワーの源になり得るのか。中国、インド、アメリカ、日本、ヨーロッパ諸国が、真剣に世界の指導者となって、研究、開発、投資、援助に取り組んだらどうなるかと考えている。

国谷裕子氏 ジャーナリスト
日本は痛みのともなう劇的な変化を遂げてきた。社会規範がなくなってきた。私たちは、問題の背景を分析して解決策を出そうと試みているが、合理的に見えた解決策が数年後により深刻な問題を引き起こす状況を目撃してきた。私たちが見落としたものは何だったのかを考えている。

2015年に国連が全会一致でSDGsを採択したとき、経済、社会、環境的な目的を統合してバランスを取り、相互に関連付けることで一貫性のあるアジェンダを追求していると知って、目が開かれた思いがした。世界的な約束は、「誰も取り残さない」ことである。

ダボスでの世界経済フォーラム会議において、環境および持続可能性の問題を、企業のアジェンダのトップに持っていくという合意の存在を感じた。投資によって企業の気候変動問題への見方が変わってきた。機関投資ファンドでは、環境および社会的な基準に従う企業が高い評価を受けている。昨年9月に世界経済フォーラムが主催したSDGs会議において、主催者から、「ここは、解決策の実施を開始するためにステークホルダーを集めた場です」という発言があった。企業は、自分たちが変化の力にならなければいけないと気づき、ビジネスを存続させるためにもそれが必要だと感じている。グローバル企業は分野を越えてパートナーシップを築き、難題に取り組み始めている。

しかし、日本には同じような潮流は見られない。多くの日本企業は、SDGsをブランディング・ツールと見ている。プロジェクトを担っているのはCSR部門であって、ビジネスの焦点にはなっていない。SDGsをMDGsの延長と誤解する向きがある。しかし、SDGsで問われているのは、途上国のくらしの改善だけではなく、ビジネスでの意思決定が、誰かを傷つけていないか、傷つけているならば方法を変えるべきということである。このメッセージは企業に十分には普及していない。また、海外では化石燃料からの脱却が加速しているが、日本では同様の潮流は起きていない。SDGsの目標を選り好みする傾向を示しているのではないか。日本企業は、まだグローバル・コモンズに責任を持つ準備が整っていないのではないか。消費者も変化の原動力となることが可能であるが、SDGsの一般的な認知度はまだ低い。ただし、人口減少や高齢化といった課題に取り組んできた地方自治体は、SDGsに焦点を当てて、自分たちの持続可能性とイメージを改善し、人々や投資を誘致することに熱心である。

今、私たちが目撃しているのは、短期的思考や縦割りを乗り越えて、より革新的でより多くのステークホルダーを巻き込んだガバナンス目標を設定するための優先順位付けにSDGsを活用しようとする動きである。SDGsは私たちの目を、問題の根本原因や、最も脆弱な人々に向けさせる。気候変動の影響、長引く紛争、コミュニティの持続可能性の問題が、世界中に広がりつつある。国際社会が紛争を予防し、長期的に安全保障を改善するために、日本の地方自治体の試みがヒントになるのではないか。みなさんがSDGsについて学び、協力と解決への話し合いが始まることを願っている。

沖 大幹 国際連合大学副学長
1850年頃から2000年頃までのデータを示したい。都市の人口、肥料の消費、大きなダムの数、水の利用、紙の生産、交通量、そして通信量が増えた。ある意味では私たちに豊かさをもたらしたということである。その結果として、大気中のCO2濃度、窒素酸化物濃度、メタン、成層圏のオゾンが増え、地上気温も上がった。海洋酸性化が進み、サンゴの白化が起こった。海水温の上昇も大きい。海洋の漁獲量、エビの養殖量、海洋への窒素流入、熱帯雨林の喪失が増え、人為的な土地利用や陸域生態系の劣化が進んだ。

開発目標の進展については、4年おきに国連から報告書が出る。2017年の国連のグテーレス事務総長のSDGs報告を見ていきたい。1日に200円以下で暮らしている人口の割合は、1990年と2013年の比較では減った。栄養不足人口も2000年頃と2016年頃で減った。5歳以下の死亡率は、1000人中60名から40名程度に減った。未就学率は女性のほうが世界的に高く、減り方が芳しくない。電気が使える人口割合では、都会は世界的に見ても非常に高く、95%以上の人たちが電気を使える。農村部にいる使えない人たちが、60%から70%に増えている。携帯電話については、高性能な機能にアクセスできる人口が60億人を超えている。都市の人口割合は増えている。開発においては停滞が問題である。例えば、前ほど労働生産性が伸びなくなっていることである。再生可能エネルギーの世界的な利用状況は爆発的に増えているが、エネルギーの使用量自体も増えている。増えていて良いものは、GDPや、研究への投資、電気のアクセス人口割合である。問題なのは、幼児の肥満が世界的に増えていること。食料の絶対数が足りないのではない。50年前、世界で絶対的に食料が足りていなかったときとは違う問題が生じている。また、私たちの生活の物質への依存度は増えている。自然災害による死者数も増えている。

世界は確実に良い方向に向かっているが、不十分である。もっと良い社会にするための方法を考える必要があり、私はその道しるべがSDGsであると思う。また、2015年のパリ協定では、化石燃料があっても使わないということを決めた。従って、今、私たちは再生可能エネルギーでうまくいけそうだという道筋を作りつつある。
グローバル経済には良い面もある。どこかの国や企業だけが暴利をむさぼって、豊かさを享受することはできないということである。グローバル経済では一蓮托生なので、開発から取り残されている人や地域が伸びることは、先進国の経済にとってもプラスだというwin winをSDGsは描いている。SDGsにおいては、環境保全、社会正義、貧困撲滅の三つが大事であることを強調したい。SDGsに法的拘束力はないが、国際的な規範としての効力を持ち始めている。中国も環境や人権に配慮し始めた。SDGsに限らず、規範を守らない主体はグローバル経済から外すという現象が起こりつつある。そのような脅しの側面もありながら、私たちが良い世の中をつくっていく道しるべとして、SDGsができたと私は思っている。

【質疑応答】
主に4つの論点について意見交換が行われた。

SDGsを達成する方策として技術革新が果たす役割
技術革新が社会開発の糸口になった例として、タンザニアでは、蓄電池と太陽光パネルを組み合わせたソーラー・ランタンによって、無電化地域に電力を供給した実例がある。夜間でも仕事や勉強ができるようになり、地元の経済活性化や生活の質の向上に貢献した。中国やインドでは、経済発展にともなって井戸や水道が整備された。SDGsでも産業が育つような支援を行えば、地域が自立的に発展していく仕組みが作れるだろう。
さまざまな国際的な目標が掲げられると、大事だけれども無理ではないかという反応が出てくる。重要なのは、SDGsは実現不可能だと決めてかかることをやめることである。ソマリアやコンゴのように紛争影響下の発展途上国には、自由な統治がなく、持続可能な開発は無理と思われがちである。しかし、技術革新によって打開できる問題は実際にある。

日本の地方自治体やアメリカの地方政府による取り組み
日本では県、市、町がSDGs宣言を始め、市民、NPO、企業、自治体がワークショップを開いてビジョンづくりに取り組んでいる。SDGsを掲げることでいろいろな人々とつながったり、企業の参入を促すことが可能になる。例えば北海道の下川町は、経済、社会、環境を統合したエネルギー自給政策を実施し、ジャパンSDGsアワードで内閣総理大臣賞を受賞した。それぞれの地域、国、自治体でテーラーメイドのモデルを作っていくことが必要である。
アメリカは政府がパリ協定から離脱したものの、地域社会や地方政府による取り組みは行われている。さまざまな主体が、いろいろな役割をもって、集合的な行動を取ろうとしている。それが「触媒的アプローチ」である。例えばカリフォルニア州がクリーン・エネルギーのために先駆的な燃費基準や大気汚染基準を設定すると、他の州がそれに追随することで国の基準になっていく。大統領や首相が動かなくても、州や地域社会がリーダーシップを取ることによって、波及効果が生まれる。

企業の動機付け:情報プラットフォームと評価指標化
産業社会におけるエネルギー消費を、持続不可能な形で進めることはもはやできない。解決策を提示することによって、企業が持っている利益のインセンティブを活用していかなければならない。例えばソーラー・エネルギー市場では、企業は自らの利益が上がる形で事業を進めようとしている。そうしたところから、クリーン・エネルギーに立脚した経済を作っていくことが期待できる。民間部門が技術を導入し、それを経済に組み込むことによって、長期的には社会全体が移行を果たせるようにしていくことが望まれる。
日本企業の中にも、「共通価値の創造(Creating Shared Value:CSV)」という考え方を深く理解しているところもあるが、行動がともなっていないのが現実。ESG投資(環境、社会、企業統治に配慮している企業を重視・選別して行う投資)のように、SDGsに関する科学技術の開発をしている企業のインデックスを作ってはどうか。また、自治体、企業、NPO、大学での取り組みを可視化できる情報プラットフォームを作ったらよいのではないか。
ESG投資は、世界全体では投資全体の25%程度、日本では3.4%と少ないが、ヨーロッパでは50%に増えている。SDGsの232の指標をもとにした「SDGs投資」が生まれてもおもしろい。ダボスでの世界経済フォーラム会議で、グローバル企業11社が、2025年までにすべてのプラスチックを再生可能、あるいは堆肥化できるものにすると宣言した。企業が自分たちの資金と技術を使ってプラスチックによる海洋汚染を解決しようとする動きが出ていることに勇気づけられる。

大学の役割
人間は自分の利益を考えて行動する。ところが、自分の利益だけを考えた行動が取られると、共倒れになる状況がたくさん出てくる。それを乗り越えるためには、すべての人々が損害を受けるような状態は、誰にとっても望ましくないと理解することが重要である。環境に関する国際協力の始まりとなった国際河川の環境保全は、協力することが自分の利益にも相手の利益にもなる状況のために実現した。
大学はこのような課題について、ただ分析するだけではなく、課題解決の可能性を示していく責任がある。SDGsを大学の目標として掲げるのは、まさに現代世界において大学が負っている責任を果たすことである。その領域は、技術革新による新たな社会の構築から、紛争の発生を放置したり加速したりしない社会正義の実現につながっていく。
東京大学政策ビジョン研究センターは、新しい選択を示す役割を担う。それが、大学の責任の一つであると自任している。