総長メッセージ

知の協創により次世代の社会システムを構想する
− 政策ビジョン研究センターへの期待

東京大学総長
五神真

2016/1

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20世紀は、自然科学のあらゆる分野で飛躍的な発展が見られ、技術が多方面に展開した時代となりました。そして、これらの科学と技術の革新によって、人類の活動範囲は桁違いに拡大し、社会は姿を変え、そして、人類はかつてない大きな力を得ることとなりました。

一方で、現代社会を支える基本的な仕組みの限界も露わになってきています。地球環境の劣化、資源枯渇、地域間格差といった地球規模の課題はより顕在化し、また、世界情勢はより不安定になっているように感じます。より大きな力を得た人類がどのようにして、安定で平穏な社会を構築するのか、その道筋は明らかにはなっていません。私は、多様な人々が尊重しあいながら協力して経済を大きく駆動する新たな仕組みを生みだすことが必要だと考えています。この新しい仕組みを駆動するものは人々の知恵に他なりません。すなわち、知恵が経済を動かす社会です。そこに移行できるのかどうか、人類社会は今、分岐点に立たされていると捉えています。日本には、アジアの先進国として、それを先導する歴史的責務があり、東京大学はそれに対し重要な貢献をすべきだと考えます。

政策ビジョン研究センターには、先に述べたように限界が見えた現代社会の仕組みに代わる次世代の仕組みを構想し、それを世界に向かって発信する役割を担ってもらいたいと考えています。これには、世界的な視野で多様な知を結び付け、知の協創を行うことが欠かせません。東京大学の多様な組織・分野が持つ学知を全学的に一層結びつけるとともに、海外の研究機関や課題解決の現場とも連携関係を深めることで、多様な知恵を持った人々が結集する国内外ネットワークの「ハブ」として、このセンターが発展することを期待しています。