アジア研究共同体の時代 2010/05/27 PDF

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       −世界の燃料電池・太陽電池の共著分析から−        Pari PI 10 No.02

Detecting the valley of international academic collaboration in renewable energy

坂田一郎1 ・佐々木一2 ・梶川裕矢3

要旨

今日、気候変動問題等の環境問題の解決と経済成長とを両立させるイノベーションモデルが求められている。この面で最も期待されている技術の一つがバイオマス、風力、燃料電池、太陽電池等の再生可能エネルギーである。再生可能エネルギーの研究は実用化までに多額の研究開発投資と多様な要素技術の組み合わせとを必要とすることから、多くの場合、一つの国や機関だけでは、技術の完成に必要な全ての能力は持ち得ない。開発を早急に、かつ、効率的に進めるためには、国際的な科学技術協力の手法が有効である。実際に、OECDやAPEC等の国際的な場でそのための政策が論議されている。

知識の生産量が急速に拡大し、また、知識の生産に参加する国や機関が増加する中で、世界的な研究推進や研究協力の構図は見えにくくなっている。知識の構図が把握できないと、国際協力に関する科学技術政策の立案も困難である。我々は、再生可能エネルギーのなかで太陽電池と燃料電池という2つの技術領域に関して、6万8千件の論文情報をもとに、研究能力と国際的な研究協力の情報を含む世界研究マップを構築した。また、国際研究協力について、地理的な視点からの詳細な分析を行うとともに、2つの技術領域に関し、協力ネットワークの構造について比較検討を行った。

その結果、研究協力に関して、アジア地域内に協力の「谷間」があることが明らかになった。また、既存の太い協力関係の背景には、地理的、文化的、言語的な要因以外に、国際的な共同研究プログラム、組織間の研究協力協定、知の結合の機会、太い人的な関係の存在があることが判明した。 再生エネルギーの開発・導入による気候変動問題への対応を加速し、また、アジアが世界の再生可能エネルギーの開発をリードするためには、アジア地域内の研究協力の谷間を埋めることが欠かせない。国際共同研究プログラムの創設、研究機関同士の研究協力協定の締結促進、知の結合を行うネットワークの形成、信頼関係の形成に至る太い人的交流の促進が政策誘導の選択肢となりうる。

地球環境問題の重要性とアジアの研究能力の飛躍的向上を踏まえ、これら政策を推進する「アジア研究共同体(Asia Research Area)」の形成を提言する。

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1 東京大学政策ビジョン研究センター教授、兼工学系研究科教授
2 東京大学政策ビジョン研究センター特任研究員
3 東京大学工学系研究科総合研究機構イノベーション政策研究センター特任講師

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